製品に手軽にロゴなどを入れることができる焼印ですが、鞄や財布などの革製品・レザーアイテムへの焼き付けは難しいでしょうか?という疑問や不安もあるかもしれません。
こちらの記事では革・レザーへの焼印について詳しくご紹介させていただきます。
革・レザーへの焼印について
焼印加工の難易度で言えば、革・レザー沿いう素材はそれほど高くありません。どちらかというと手軽に焼印加工ができる素材になります。
革は焼印が入りやすい反面、焦げやすいという特徴もあります。革の種類にもよりますが、180℃ぐらいから焦げ色が入るようになります。ですので、焼印加工する場合は、この温度管理が大切になってきます。
革への焼き付け温度:200℃前後
革の厚みによっても難易度が変わります。1mm以下の薄い革の場合は焦げ色の入るギリギリの温度にしないと、革が焼切れてしまったり、革が縮んで歪みが出てしまうこともあります。
革は一度縮んでしまうと元に戻せないので、焼き付ける温度はとても大切です。必ず本番前に端材などでどのような仕上がりになるかテストするようにしてください。
革へ焼印する際の道具
先ほども言いましたが、革への焼印については温度管理が大切です。そこで、革・レザーへの焼印をする際の加工道具についてご紹介します。
半田ごてを使った電気式焼印(コスト:低)
半田ごてはコンセントに差し込むだけで温度が上がってくれる便利な焼印道具ですが、そのまま使ってしまうと温度が400℃程度まで上がってしまいます。最大温度まで上がった状態で革に焼き付けると、真っ黒に焦げてしまいます。
そこで必要なのが、電圧を調整して温度を下げることができるパワーコントローラーです。
タイプはいろいろありますが、温度を〇〇℃に調整するという機能はなく、電圧を下げて温度を下げるので、つまみの位置を調整し、その時の温度を調べてちょうどよい温度を見つけるテストが必要です。
少し手間はかかりますが、コストを抑えて焼印加工が可能です。
導入コスト:1~3万円程度(焼印とのセット価格)
製作会社により、焼印自体のサイズやデザインで値段が変わります。
※直接火で炙る直火での焼印加工もありますが、温度の調節が難しく高温になるため、革への焼印には向いてません。
ホットスタンプを使った焼印加工(コスト:高)
ホットスタンプは1℃単位で細かく温度調整ができる機械なので、革の種類や状態に合わせて柔軟に焼印加工が可能な道具です。
ホットスタンプは一定の力で水平に素材に圧力をかけることができるので、大量生産や精度の高い仕上がりを希望の場合は、こちらの機材での作業がおすすめです。
また、細かく温度調節できるので、焼印だけでなく、箔押し加工や焦げ目を付けない型押し加工も可能です。
導入コスト:4~8万円程度(焼印とのセット価格)
焼印のサイズやデザイン、ホットスタンプの種類によって価格が変わります。
合成皮革への焼印について
合成皮革(合皮)については、天然皮革と異なり焦げる前に溶けてしまうので、焼印加工というのはできません。
合皮に焼印しようとすると、上記の写真のように溶けてどうしようもなくなってしまいます。ですので、合皮においては、型押しまたは箔押しでの加工となります。
ホットスタンプを使って、合皮の溶けない150℃程度の温度に調整することで、型押し加工がキレイに入ります。
出来上がった革製品への焼印
縫製や成型前のフラットな革の状態であれば、焼印加工はとてもやりやすいのですが、鞄や財布、名刺入れなど、製品として出来上がったものに焼印をする場合は、難易度が上がります。
製品への焼印加工については、まず失敗できないというプレッシャーがかなり高くなります。素材の状態の革であれば失敗しても、まだいいのですが、出来上がった製品となるとやり直しができません。
次に押し付ける場所をフラットにできるかどうか?裏地に縫い目があったり、段差ができるような場所だと上手く焼印を入れることができません。なので、出来上がった製品への焼印の場合は、焼き付ける場所が限られてしまうということになります。
ですので、ロゴなどの焼印を入れる場合は、できるだけ製品にする前の素材の状態で焼き付け加工をすることをお勧めします。